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13.04.03 長寿社会をKAITEKIに

■グローバルエイジング
 みなさんは、超高齢社会日本という言葉を最近よく聞かれるのではないでしょうか? 超高齢社会とは、高齢社会を定義したかつての国連の報告に由来して、65歳以上の方が21%を超えた社会を指すと言われています。世界では日本が最初にその超高齢社会を迎えました。しかし、高齢の方が増加するのは、日本や欧州、米国など先進国だけではありません。今後、韓国、シンガポール、中国などが続き、さらに、ASEAN諸国やインドが高齢化していくと予測されています。国連人口基金は、世界では現在9人に1人が60歳以上ですが、2050年には5人に1人になると2012年に報告しています。

■加齢による生物学的な変化
 加齢により、人体には生物学的にいろいろと課題が出てきます。年齢を重ねた方にインタビューをすると、多くの方は視力や聴力の低下、運動能力の低下などを感じられています。実際、若年者や中年者が高齢者の身体状態を体験できるようなスーツを着用してみると、想像以上にひとつひとつの動作が大変なことが実感できます。このように様々な生物学的能力が少しずつ低下し、その結果、自分でできることが減少していくのです。
 東京大学高齢社会総合研究機構の秋山弘子特任教授らによる、長期横断疫学研究があります。この研究は、65歳以上の方延べ5000人以上を20年近く追跡し続けている調査(現在も継続中)で、この結果から、90%近い女性は、70歳ぐらいから徐々に自分でできることが減少すること、そして多くの女性が最初に失う能力は移動能力であることがわかっています。

■長寿社会をKAITEKIに
 それでは、今後、世界的に増加する高齢者の方々が、どうすれば快適に過ごすことのできる社会を作り出すことができるのでしょうか?
 移動能力を例にとって考えてみると、何もしないと衰えていく運動機能をできる限り保つための個人の努力、次第に低下していく身体の諸機能をうまく補完し移動しやすくするようなインフラの整備が必要とされます。
 地球快適化インスティテュート(TKI)では、一人ひとりが健康を管理し運動機能を維持できるような方策や、高齢者も外出しやすくなるようにインフラを整えるための新しい製品を研究しています。あわせて、その製品が活用されていく仕組みづくり、すなわち「ことづくり」が重要と考え、その研究も同時に進めています。
 TKIでは、『新しいことづくりに支えられた高齢者の方々が生涯現役で活躍できることにより、個人にとってQOLの高い生活が実現できる』、長寿を心から喜ぶことのできる、KAITEKIな未来社会の実現を目指しています。

女性の生活自立度の変化パターン -全国高齢者20年の追跡調査 (N=2788)―
出典) 秋山弘子 長寿時代の科学と社会の構想 『科学』 岩波書店, 2010


「加齢スーツ」着用シーン。体を動きにくくする手足のおもり、視界を狭くするメガネ、
手先を扱いにくくする手袋などを装着して行動してみることで、高齢者の身体感覚をシミュレートできます。