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13.08.21 オランダIT農業に学ぶ

 九州とほぼ同面積(415万ha)のオランダ。人口も1640万人とこれも九州の人口に匹敵します。そんな小さな国がアメリカに次ぐ世界第2の農業輸出国であることをご存知でしょうか?


パプリカ温室内の様子:外部からの雑菌の混入を防ぐために白衣を着衣

 農業生産物の約8割をEU各国に輸出し、高い土地生産性、効率的な労働生産性を獲得したオランダ農業の歴史には、ITが大きな貢献をしています。オランダの施設園芸、いわゆる温室栽培は、高度に自動化されあたかも工場でトマトやピーマンが生産されているといっても過言ではありません。日本のビニールハウスとは異なりオランダのほとんどのハウスはガラスで構成されており、ハウス内の温度、湿度、CO2濃度、日射量などの生育環境や、灌水、肥料の投与まで自動的に制御されていて、その結果高い野菜の生産性が得られています。


生育中のトマト:補光用にLEDランプを活用
温室の床から二酸化炭素を供給

 具体的にトマトの生産量を比較しましょう。日本の単収(単位面積当たりの収穫量)が約20 kg/㎡に対し、オランダではその3倍、60 kg/㎡におよびます。最近では100 kg/㎡のトマトを収穫したとの報告もあります。植物の生育状況をカメラで観察しながら、病気や生育不良などの異常が見つかるとこれも随時機械的に処理され、植物が最も生育しやすい環境を提供しているのです。さらにこうして収集された生育情報は詳細に解析され、より良い環境条件を導き出すプログラムを構築するために活用されます。

 このような農業は、農業とITが融合した新しい形態のビジネスであり、IT農業、あるいはスマートアグリといわれています。さらにオランダでは、ハウスの屋根に太陽光パネルを設置し、省エネとエネルギー生産を両立させるシステムも展開されつつあります。

 さて、日本の農業の実態はどうでしょう。TPP参加に関連して、政府は「攻めの農業」を打ち出しました。しかし、農家の高齢化が進み、補助金で保護されてきた日本の農業が、オランダのように極めて高度化された農業と対等に競争できるのでしょうか?IT農業について言えば、日本は2-3年前にやっと国内大手IT企業が農業に参画してきたところです。オランダでは10数年前からワーヘニンゲン大学を中心に産官学が一体となって研究開発に取り組んでおり、農業関連企業を集約させた農業クラスターを形成して効率的な産業推進を進めてきました。日本もオランダのように大胆な政策を実施し、若者が進んで農業に従事する、そんな時代が早く来ることが望まれます。


パプリカの収穫:収穫ロボットの開発も進められている

 地球快適化インスティテュートでは、21世紀型の新しいアグリビジネスを創生し提案するために、国内外の農業動向を調査しています。三菱ケミカルホールディングスグループ内の新規素材やエネルギー関連技術を結集して、海外と競争できるKAITEKIアグリが実現する日が来るのもそれ程遠くないかもしれません。