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15.02.27 あたりすぎて怖い

    近頃、ウェブやスマホで、よくこのような広告を見かけませんか? そう、「占い」のサイトです。「あなたの未来を教えて上げようか?」と言われると誰もが心動かされるものですし、「当たり過ぎて怖い・・・」とまで言われると、思わずクリックして姓名や生年月日を入力してしまいそうです。

    しかし、どうしてヒトは自分の未来について、そんなにも知りたがるのでしょう。お御籤の「凶」を引くのと同じで、もし、その「占い」があなたの人生の恐ろしい結末を暗示したりなどしたら、例え当たっても、後で困れば良い話を今から困ることになり、それだけで大損するように思います。怖いもの見たさだけで、皆、敢えて未来を覗いてみるものなのでしょうか?

Lady and the fortune teller
Lady and the fortune teller by rickz, (CC BY-NC-ND 2.0)

    ただ、「それくらい『未来予測』の経済的価値は高い」と言うことは出来るはずです。必ず値上がりする株の銘柄が分かれば、誰だってすぐに大金持ちになりますし、市場においては、「必ず値下がりする」ことが分かる場合ですら、お金儲けが可能なのです。 だから皆、昔から「占い」サイトに殺到するまではしなくても、「未来予測」には一生懸命なのだと思います。優秀な科学者(経済学者?)達が、巨額の報酬を手にしながら日々取り組んでいるのも、精度の高い市場の近未来予測を可能にする「モデル作り」なのです。

    この「世の理(ことわり)」を全て知る「神秘的な」存在となり得れば、将来も見通せる。それはある面間違いのないことでしょう。未来を希求する強烈な思いが「世の理」の徹底した追求へと繋がり、あらゆる学問が生まれて来たと言っても過言ではありません。ギリシアでも中国でも、そしてマヤでもアステカでも、古代の王や神官は皆何らかの形で神(秘)と話をし、民に「これから起こること」を伝えたのでした。その託宣の精度を上げる為、彼らは命懸けで天文学を修めました。お日様や星々の巡り方、雨、雪、風、そして月の満ち欠けを辛抱強く観察して記録し、その上で更に「天の理」を考え、何千年も前に、驚くべき精度の「暦」を完成させたわけです。計算機(コンピューター)も記録装置(サーバー)もない時代に、よくぞここまで膨大なデータを積み上げ、きちんと処理出来たものだ(ちゃんと実用化も出来ている)と感嘆するしかありませんが、それぐらい、ヒトの「未来予測」に対する要求は大きかったのです。「未来予測」とは、地球上で唯一「知性」を獲得した生物であるヒトの、「まさに原点である」と言って良いのかも知れません。

Sacred precinct 1
Sacred precinct 1 by Xerones,(CC BY-NC-ND 2.0)

地球快適化インスティテュート(TKI)にも「フューチャーデザイン室」があります(当初「未来予測室」と呼んでいましたが、‘未来は自分で作るもの’という意味合いを込め、一昨年、今の名称に変更しました)。「未来について解析し、そのニーズを満たすビジネスのコンセプトを考える」のがTKIのミッションなのですから、当然です。と言いながら、フューチャーデザイン室は直截的に上述の「モデル作り」をしているわけではありません(神社仏閣へお御籤を引きに行っているわけでもありません)。未来への飽くなき探求心を抱きながらも、まず「世の理」の追求を目指している段階だ、と言えば良いのでしょうか。別の言い方をすると、「当たるお御籤はどうやって作れば良いのか?」を先に研究しているのかも知れません。

    人類の知的活動は、有史以来、①「過去」の効率の高かった生産活動のより確実な「再現」と、②より精度の高い「未来予測」を目指して行われて来ました。(再現性や予見性の小さい)ひらめきや偶然を貴ぶのは、芸術分野に限られていたのではないか、という気までするくらいです。その知的活動に、近年、「強力な武器」が加わりました。ICT(情報通信技術)です。ICTは過去を詳細に丹念に記録し、私達の要望に応じて、まるで「今そこで起こっている」かのように再現してくれますし、膨大で複雑な演算を繰り返しながら、現実にはまだありもしない未来の様子を、まるで「既にそこにある」かのように映し出して見せてくれるのです。

    皆さんは「ハロー・サンタ」をご存知ですか?* クリスマス近くにこのiPhoneアプリを利用すると、スクリーンに赤い服を身にまとったサンタクロースが現れ、子供達とお話をしてくれるサービスのことです。世の子供達にとってはまさに夢のようなお話ですから、勿論、皆大喜びです。一部の大人達の間には「結果的に子供達のクリスマスの夢を壊すことになる」という批判的な声もありますが、このサービスの関係者達は一向に気にしていません。確かに、ショッピングモールにいる客引きサンタの周りに集まるよりも、子供達の夢を膨らませるのには良いサービスなのかもしれません。今やもう、夢はただの夢ではありません。現実にそこにあるように、見せるだけなら幾らでも見せられる時代になりました。勝負はそこに描き出す夢の中身なのです、と言うこともできるでしょうか。このサービスを支持するかどうかはさておき、この話、ICTが可能にするVR(Virtual Reality)が持つ「力」や「課題」を、色々な側面から上手く物語っているようには思いませんか?

    夢も未来も、現実にはまだそこにないものを上手く描き出す為に、ICTが大きな力を貸してくれます。飛躍的に拡大したデータ保有、処理、演算の能力、そしてディスプレイの技術により、私達は「神秘的」と呼ぶにふさわしいシミュレーション能力とコントロール能力を手に入れたのです。後はそれを「どう、上手く使う」ことが出来るかです。「どうすれば、膨らむ夢を描き出せるか」、TKIのフューチャーデザイン室はそこを考えていると言って良いでしょう

TKIのお御籤は当たり過ぎて怖い。そんな風に言われるようになりたいものです。ICTの発達のお蔭で、あらゆるものにCHIPが埋め込まれる「インターネット・オブ・シングズ(モノのインターネット)」の時代が到来しつつあります。逸失物のありかも(お御籤の重要なファンクションの一つ)、埋め込まれたCHIPの発する信号と、人工衛星を利用するGPS技術のお蔭で、立ちどころに分かってしまう時代が来るのです。TKIがあなたの「恋の行方」をズバリ言い当てるようになるのも、決して夢ではない、と思うのですが…。